生の枝分かれ。

昨夜から部屋の模様替えをしていて
僕の去年作った音源が沢山。出てきた。
ステレオにアンプを繋ぎ、聴いてみる。
本当に久しぶりだったんだけど。
そのおかげか、少し客観的に聴くことが
出来るようになっていた。
なんて瑞々しい感性を持っていたんだろう、
と率直に思った。
演奏も歌もやっぱりプロと比べたら下手なんだけど
それでも作り始めた頃は
本気で巷の音楽に肩を並べる気でいたし、
ひとりで全部やっているからとか、
マチュアだから、とかそういう甘えた前提は拒んできた。
今の自分には何が足りないんだろう。
演奏も歌も、以前よりは上手くなったはずなのに、
凡庸な音楽しか作れなくなったのは、なぜだろう。
この一年で、あまりに状況は変わった。
あまりに満たされてしまったから。
過去の僕には、本当に音楽が救いだった。
それは誰かと話すことよりもずっと、
生のコミュニケーションの手段だった。
だから、眠るのも忘れるほど、必死に曲を書いた。
今の僕は、アーティストとして生きることを別に望んでいない。
かといってあきらめたわけでもない、中途半端な状態。
企業の事を研究したり、説明会に足を運んだり、
就活に向けて準備を始めている一方で、
浮かぶのはメロディ。創作への意欲。
願うのは幸せな未来。安定した暮らし。
愛する妻がいて、子がいる、温かい暮らし。
近い場所にあった幸せ。僕はそれに満足している。
今が永久に続けばいいと、願うことさえあるくらいに。
僕にはもう、音楽を作る意味がないのかもしれない。
歌うべきコトバも見つからないまま、
ただ6弦を、爪弾く朝。


もう一度問い直してみる。
自分が歩むべき道を。
選択できる自由を、噛みしめながら。