しとやかな獣
WALKMANの衣替えをしていたら朝になって
そこから昼まで眠ってしまったので、
大学に着いたのはもう夕方近かった。自己嫌悪。
ただ、衣替えは大成功で、駅から自宅まで徒歩で帰ってしまうほどに
魅力的な音楽がギッシリ詰まっている。
国道沿いをぽつぽつ歩いていると、いろんな車とすれ違う。
たまに運転手と目が合う。
不審な目に出会うこともある。
時に足を引きずりながら。
時に空に見とれながら。
国道から離れた広い田園地帯に出ると
そこには、光が届かない。
足が不意に止まる。
ヘッドフォンからはbloodthirsty butchersの「七月」
だんだんと、歩幅が狭くなり、
足がもつれ・・・その場にしゃがみ込む。
月も星もなかった。
ただ、遠くに見える街の灯りと
空に浮かぶ飛行機のライトだけが、光と呼べるものだった。
どちらもとても遠くて、光から切り離された世界にいるような心地だった。
暗くて、寒い。
だけどそこは、なぜか居心地がよかった。
大学はとてもにぎやかだった。
グループで楽しそうに大笑いする人々。
成績表を見せ合ってわめき合っている人々。
いつからこの景色を見ているだろう。
いつからこの景色に気づいただろう。
それはいつからか、ただの景色にしか過ぎなくなった。
それは決して手の届くことのない飛行機の灯りと、
どこか似ているような気がした。
だから、闇の中で、ただ飛行機を見つめていた。
焦がれながら、決して染まれない
あの日に住みついた悪魔が、心の中にまだ生きているのを感じた。
別にそれでもいいと思った。
本当に自分を愛せるのは自分でしかない。
愛せる自分になるために成長する。だけどすぐに愛せなくても、
今かろうじて愛せる部分を、愛してやればいいのかもしれない。
きっとそうでないと、生きてなんていられない。
だけどそこに甘んじてはならない。
周囲のことを考えた結果、マイペースに映る。
そういうときは本当に
少しだけ、消えたくなる。
わかってほしい。なんてのは。無理な高望み。
なんかいろんなことに疲れてきた。
って、働いてもいないのに偉そうね。
甘いもんでも食おう。